
製造業において、不良品が発生してしまうことは避けられません。しかしその数が多くなると、材料費や人件費が無駄になるだけでなく、顧客からの信頼低下や企業イメージの悪化にもつながります。特に近年では、製品品質への要求が高まり、わずかな不良率でも企業にとって大きな損失となるケースが増えています。
そこで本記事では、不良率の基本的な定義や計算方法から、実践的な改善手法まで、詳しく解説します。
不良率とは
不良率とは、全生産数に占める製造工程において発生した不良品の割合です。この数値は、製造プロセスの品質レベルを定量的に評価するために用いられ、生産管理や品質改善活動の基準となります。
不良率が高い場合、製造工程に何らかの問題が存在しているため、早急な原因の特定と対策が求められます。多くの製造業の現場では、この不良率を継続的にモニタリングし、目標値と比較しながら改善活動を進めています。
改善活動につながる改善提案について詳しくは「【工場の改善提案ネタ20選】今すぐできる!改善提案ネタをわかりやすく解説!」をご覧ください。
不良率は以下の計算式で算出され、パーセンテージ(%)で表現されます。
不良率(%)=(不良品数÷総生産数)×100
例えば、ある製造ラインで1,000個の製品を生産し、そのうち10個が不良品だった場合、不良率は(10÷1,000)×100=1%となります。
この計算式は非常にシンプルですが、正確な不良率を把握するためには、何を「不良品」と定義するかが重要です。検査基準が曖昧だと、不良率の数値も信頼性を欠きます。まずはどの状態を不良品とするのか定義づけから進めてみましょう。
PPM(Parts Per Million)とは
PPMは「Parts Per Million(百万分率)」の略で、100万個あたりの不良品数を示す単位です。不良率が1%の場合、PPMは10,000になります。
PPMと不良率の関係は以下の数式です。
PPM=不良率(%)×10,000
PPMは不良率よりも細かい単位で品質を表現できるため、特に高精度が要求される自動車部品や電子部品などの製造現場で広く用いられています。
不良率と歩留まりの違い
| 不良率 | 歩留まり | |
| 定義 | 生産数のうち正常な状態の製品が占める割合 | 総生産数のうち不良品が占める割合 |
| 目的 | 生産効率の指標 | 品質管理の指標 |
| 測定タイミング | 製品完成後の検査時 | 製造プロセス全体 |
不良率と歩留まりは、どちらも製造品質を示す指標ですが、視点が異なります。歩留まりは「総生産数のうち良品が占める割合」を示し、不良率は「総生産数のうち不良品が占める割合」を示します。
両者の関係は「歩留まり(%)=100%‐不良率(%)」で表されます。例えば、1,000個生産して950個が良品の場合、歩留まりは95%、不良率は5%となります。
製造現場では、歩留まりは生産効率や収益性の観点から重視され、不良率は品質管理や改善活動の指標として重視される傾向があります。両方の数値を併用することで、製造プロセスの状態をより正確に把握できます。
不良率の目標値・目安
不良率の目標値は、業界や製品の特性によって大きく異なります。中でもよく用いられる目標値としては以下の2つが挙げられます。
・3シグマ
・6シグマ
「3シグマ」は不良率0.27%(2,700PPM)、「6シグマ」では0.00034%(3.4PPM)を目標水準とします。一般的な製造業では、不良率1%以下である3シグマを目標とするケースが多く見られますが、自動車部品や医療機器など高い信頼性が求められる分野では、6シグマという極めて厳しい基準が設定されることもあります。
現実的な目標設定を行うには
理論上は不良率0%が理想ですが、現実的には達成困難であり、コストとのバランスを考慮した目標設定が重要です。むしろ不良率を極限まで下げようとすると、検査工程の増加や高価な設備導入などでコストが急増し、かえって収益性を悪化させる可能性があります。
まずは現状の不良率を正確に把握し、段階的に改善目標を設定することが効果的です。例えば、現状3%の不良率であれば、まず1%を目指し、達成後に0.5%、0.1%と段階的に引き下げていくというアプローチで進めてみましょう。また、重大な不良と軽微な不良を分け、顧客への影響が大きい不良から優先的に対策することで、限られたリソースを効率的に活用できます。
不良品が発生する主な原因【5M+1E分析】
| 発生要因 | 特徴 |
| Man(人) | 部品の取り付けミスや検査の見逃しなどのヒューマンエラー |
| Machine(機械) | 設備故障や劣化、メンテナンス不足など |
| Material(材料) | 部品のばらつきや不適切な選定など |
| Method(方法) | 作業手順のばらつきや無駄・非効率な工程など |
| Measurement(測定) | 測定器の精度不足・校正不足など |
| Environment(環境) | 不適切な温湿度・清浄度など |
製造現場における不良発生の原因を体系的に分析する手法として「5M+1E」があります。これは、後述するMan(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)、Measurement(測定)、Environment(環境)の6つの視点から原因を特定するフレームワークです。この分析手法を用いることで、表面的な現象だけでなく根本原因を明らかにし、効果的な対策を立案できます。以下、各要素について具体的な不良原因と対策のポイントを解説します。
5M+1Eと似ている分析手法として4Mがあります。詳しくは「【具体例あり】製造業における4Mとは?変更管理や活用方法について詳しく解説」をご覧ください。
Man(人):ヒューマンエラー
ヒューマンエラーは、不良品発生の主な要因の一つです。具体的には、以下が挙げられます。
- 部品の取り付けミス
- 作業手順の飛ばし
- 検査の見逃し
など
ヒューマンエラーが起きてしまう原因には、長時間労働による集中力の低下や十分な教育・訓練を受けていない作業者の配置、作業者間のコミュニケーション不足などが挙げられます。人間はだれしもミスを起こしてしまうためヒューマンエラーを完全に防ぐことは困難ですが、作業手順の標準化やポカヨケの導入、働きやすい環境づくりなどで発生頻度を大幅に低減できます。
Machine(機械):設備・機器の問題
次に製造設備や機器が故障している、精度が劣化しているといったことは、不良品を生み出す大きな要因となります。例えば設備の老朽化による精度の低下や適切なメンテナンス計画をしていなかった、突発的な故障などが代表的な原因です。
特に、定期的な点検や部品交換を怠ると、加工精度が徐々に低下し、気づかないうちに不良率が上昇していきます。また、生産ラインで使用されるフィルターやノズル、シール類などの消耗品が劣化すると、異物混入や液漏れなどの不良が発生します。
これらを防ぐためには予防保全の徹底、設備稼働データの監視、IoTセンサーによる予兆管理などが重要です。
Material(材料):原材料の品質の問題
使用する原材料や部品の品質不良やばらつきなども、製品不良に直結します。具体的には納入業者からの材料に規格外の寸法や成分のばらつきがある場合、いくら製造工程を管理しても良品を作ることはできません。また、材料保管時の環境管理が不適切だと、湿気や温度変化により材料が劣化することもあります。
原材料起因の不良品の発生を防ぐには材料受入時の検査基準を明確化し、不適合品を工程に投入しない仕組みが必要です。さらに、製造工程内での異物混入防止も重要で、特に液体や気体を扱う工程では、配管系統や供給ラインに設置するフィルターの性能が品質を大きく左右します。高精度なろ過が可能で目詰まりしにくいフィルターを選定することで問題を解消できるため、この機会に見直しを図ってみましょう。
Method(方法):作業手順の問題
不良品が発生する原因の一つとして、作業手順や製造方法に問題があるケースもよく見られます。例えば以下のようなケースです。
- 作業標準書が整備されていない
- 標準書の内容が実態と合っていない
- 標準書が更新されていない
こうした状況では、作業者ごとに手順が異なり、品質にばらつきが生じてしまいます。そこで作業方法の標準化や作業手順書を定期的に見直す、変更管理の徹底などが対策として効果的です。
Measurement(測定):検査機器の問題
上述した設備機器の問題と同様に検査・測定機器の精度不足や校正不備は、不良品の見逃しや良品の誤判定につながり、不良品発生の要因となります。
なぜなら測定器の精度が劣化していると、実際には不良品なのに良品と判定してしまったり、逆に良品を不良品として廃棄してしまったりするためです。これらの問題を防ぐには定期的な校正や測定機器のメンテナンス、測定方法の標準化などが必要です。
また、検査員の技量によって判定がばらつく官能検査では、判定基準の明確化や限度見本の整備が求められます。最近では、AI技術を活用した画像検査システムの導入により、検査精度の向上と安定化が図られているため積極的に先端技術を活用してみましょう。
Environment(環境):作業環境の問題
最後に1Eとして作業環境が不良品の発生要因として起因することを紹介します。作業する場の温度や湿度、清浄度などの作業環境が適切に管理されていないと、製品品質に悪影響を及ぼしてしまいます。例えば、塗装工程では温度や湿度が仕上がりに大きく影響し、電子部品の製造工程では静電気や微細なゴミが致命的な不良原因となります。
これらの問題を解消するにはクリーンルームの清浄度管理・空調設備による温湿度管理の徹底、作業エリアの整理整頓などを実施しましょう。
ほかにも不良品発生の原因があります。詳しくは「【改善事例も】製造業における不良品発生の原因とは?効果的な対策方法を詳しく紹介!」をご覧ください。
不良原因を分析する手法
不良品が発生した際には、表面的な現象だけでなく根本的な原因を特定することで不良率をできるだけ改善できます。原因を特定する際には感覚や経験だけに頼らず、データに基づいた科学的な分析手法を活用することでさらに正確な原因の特定が可能です。
製造現場で広く用いられているのが「QC7つ道具」や「なぜなぜ分析」などの品質管理手法です。これらのツールを適切に使い分けることで、複雑に絡み合った不良要因を整理し、優先順位をつけて改善活動を進められます。以下、代表的な分析手法について、その特徴と活用方法を解説します。
QC7つ道具
QC7つ道具は、品質管理において重要なツールとして多くの現場で活用されています。
- チェックシート
- パレート図
- 特性要因図(フィッシュボーン図)
- ヒストグラム
- 散布図
- 管理図
- グラフ
中でもパレート図は不良品の種類別発生件数を分析し、重点的に取り組むべき課題を特定するのに有効です。「不良品の80%は20%の原因から発生する」というパレートの法則に基づき、影響の大きい不良から優先的に対策できます。
ほかにも特性要因図は、不良現象とその要因を魚の骨のような図で整理し、5M+1Eの視点から体系的に原因を洗い出せます。これらのツールを組み合わせて使用することで、データに基づいた効果的な改善活動を実施できます。
なぜなぜ分析
なぜなぜ分析は、不良が発生した原因に対して「なぜ?」を5回繰り返すことで、根本の原因を特定する手法です。例えば「製品に傷がついた」という現象に対し、「なぜ傷がついたのか?」→「作業台に異物があったから」→「なぜ異物があったのか?」→「清掃が不十分だったから」→「なぜ清掃が不十分だったのか?」→「清掃手順が明確でなかったから」→「なぜ手順が明確でないのか?」→「清掃標準書が作成されていなかったから」というように掘り下げていきます。
このようになぜなぜ分析では表面的な対症療法ではなく、根本的な解決策を見出すことができます。ただし、分析者の主観に左右されやすいため、複数人で実施し、データで裏付けることが重要です。
不良率を改善する方法
不良原因を特定した後は、具体的な改善活動を実施します。改善手法は多岐にわたりますが、現場の実態に合わせて適切な方法を選択し、継続的に取り組むことが改善の第一歩です。
5S活動による現場整備を徹底する
5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つの活動を通じて、働きやすく品質の安定した現場を作る基本的な改善手法です。
- 整理・整頓
整理では不要なものを処分し、整頓で必要なものを使いやすく配置します。これにより工具や部品の探索時間が削減され、取り違えによる不良も防止できます。
- 清掃
清掃では設備や作業エリアを清潔に保ち、異物混入や汚れによる不良を防ぎます。清掃を点検の機会と捉えることで、設備の異常を早期発見できます。
- 清潔
清潔は最初の3S(整理・整頓・清掃)を維持する仕組みづくりです。
- しつけ
しつけは上記4つの項目を習慣化することです。5S活動は特別な投資を必要とせず、全従業員が参加できる改善活動として、多くの製造現場で成果を上げています。
詳しくは「【分かりやすい!】 5S活動とは?その目的やメリット、実践的に進める方法や手順などを詳しく解説!」をご覧ください。
QCストーリーを活用する
QCストーリーとは、問題解決の手順を標準化した体系的なアプローチです。
- テーマの選定
- 現状把握
- 目標設定
- 要因解析
- 対策立案
- 対策実施
- 効果確認
- 標準化と管理の定着
という8つのステップで構成されます。この手順に沿って改善活動を進めることで、思いつきや場当たり的な対応ではなく、論理的かつ効果的な問題解決が可能になります。
特に重要なのは「現状把握」と「効果確認」の段階で、データに基づいた客観的な評価を行うことです。改善前後の不良率を数値で比較し、本当に効果があったのかを検証します。また、標準化によって改善効果を定着させ、後戻りを防ぐことにもつながるため積極的に活用しましょう。
QCストーリーについて詳しくは「【失敗パターン5つ】QCストーリーで課題解決へ!よくある改善活動が失敗するパターンと成功させるポイントを解説!」をご覧ください。
作業の標準化を徹底する
ベストな作業方法を明文化・言語化する「標準化」を適切に実施することで、誰が作業しても同じ品質を確保できるようになります。これによりヒューマンエラーによる不良原因を最小化することが可能です。
作業標準書を作成する際には、以下のような内容を盛り込みましょう。
- 作業手順
- 品質基準
- 使用する工具
- 注意事項
などを写真や図解を交えて具体的に記載すると分かりやすく理解することができます。
また、標準書は一度作成して終わりではなく、改善活動の成果を反映して定期的に更新しましょう。少なくとも1年に1回は見直すと現場のやり方に適した作業標準書となります。
さらに標準書を整備しただけでは不十分で、作業者への教育訓練も必要です。OJT(On-the-Job Training)で実際の作業を通じて技能を習得させるとともに、集合教育で品質の重要性や検査方法などの知識を体系的に学ばせましょう。
工程の見える化を進める
製造工程の状態をリアルタイムで把握できる「見える化」は、問題の早期解決に大きく貢献します。例えば生産数や不良数、設備稼働率などの重要指標をデジタル表示板(アンドン)に表示し、現場の誰もが現状を認識できるようにします。異常が発生した際には、アラームで即座に関係者に通知するシステムにすると、迅速な対応が可能となるため、リスクやトラブルを最小限に抑えて不良率の改善にも役立つでしょう。
ほかにも品質管理システムやMES(Manufacturing Execution System)を導入すれば、生産データを自動収集・分析し、不良発生のパターンや傾向を可視化できます。また、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保することで、不良品が発生した際に、いつ、どの設備で、どの材料を使って製造されたかを特定でき、原因究明や再発防止につながるため、これらの「見える化」も可能な限り進めておくと良いでしょう。
製造設備や機器は経年劣化により精度が低下し、不良率を高める大きな原因となります。そこで定期的なメンテナンス計画を策定し、予防保全を徹底することが重要です。
設備機器の見直しでは、故障してから修理する「事後保全」ではなく、故障する前に点検・部品交換を行う「予防保全」により、突発的な設備停止と不良品発生を防げます。近年では、IoTセンサーを設備に取り付け、振動や温度などのデータをリアルタイムで監視する「予知保全」も普及しています。こうした先端技術を用いて、異常の予兆を検知して早期に対処することで、ダウンタイムと不良率を最小化できるため積極的に活用しましょう。
また、よく見落とされがちですが製造ラインで使用するフィルターなどの消耗品も、性能劣化が製品品質に直結するため、この機会に高性能なフィルターに切り替えておくと良いでしょう。特にニチダイフィルタの積層焼結金網フィルターは強度や耐久性が高いだけでなく、ろ過精度も高品質です。国産ロケットにも採用されるほど精密で高耐久なフィルターのためコストパフォーマンスが非常に高いと評判です。
詳しくはこちらをご覧ください。

【事例紹介】フィルター改善による不良率が改善できた
不良率改善につながった事例を紹介します。
- フィルター導入
- 不良率を0.8%→0.2%に減少
- ランニングコストも大幅削減
課題
ある精密機器メーカーでは、部品洗浄工程で使用する洗浄液の異物管理が課題でした。従来の使い捨てフィルターでは、目詰まりによる流量低下で洗浄不良が発生し、また交換タイミングの管理も難しく、不良率が0.8%で推移していました。
解決
そこで高いろ過精度・高耐久性で人気の積層焼結金網フィルターに更新したところ、安定した高精度ろ過により洗浄品質が向上し、不良率を0.2%まで低減できました。さらに、フィルターの長寿命化により交換頻度が1/10に減少し、フィルターコストは初期投資を考慮しても年間で約40%削減されました。
洗浄・再生が可能なため、廃棄物も大幅に削減され、環境負荷の低減にも貢献しています。また、差圧計によるフィルター状態の監視が容易になり、計画的なメンテナンスが可能となりました。
不良率を改善するには総合的な見直しが重要
不良率の改善は、製造業において長年の課題です。改善する際に重要なのは、まず不良品が発生する実態を正確に把握することです。そこで不良率の定義を明確にし、継続的に測定・記録する仕組みを構築しましょう。
次に、5M+1Eの観点から不良原因を体系的に分析し、データに基づいてボトルネックを特定し改善活動に努めましょう。人・設備・材料・方法・測定・環境のすべての要素を総合的に見直し、バランスの取れた改善活動を展開することが、持続的な不良率低減につながります。特に、設備や消耗品の適切な管理は見落とされがちですが、大きな改善効果が期待できる領域です。
ニチダイフィルタは積層焼結金網フィルターの生産能力で世界一を誇るメーカーとして、50年以上の実績と技術力でお客様のあらゆるニーズにお応えしています。設計から製造、アフターサービスまでの一気通貫体制により、現場の課題に的確にお応えします。なにかお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。


