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ブログ・コラム

【2025年より義務化】工場の暑さ対策とは? 5つの主な対策方法と見落としやすい注意ポイントを解説!

2025/09/03

  • 業務改善の紹介

工場での作業環境において、夏場の暑さは深刻な課題となっています。高温環境は作業員の健康リスクを高めるだけでなく、生産性の低下や製品品質への悪影響、さらには機械設備の故障原因にもなりかねません。近年の猛暑日増加により、この問題はより一層深刻化しており、労働安全衛生規則でも適切な温度管理が義務付けられています。

本記事では、工場が暑くなる根本原因から効果的な対策手法まで、暑さ対策の全体像を詳しく解説します。

工場が暑くなってしまう理由

工場内の高温化には複数の要因があり、それぞれの原因を理解することが効果的な対策立案の第一歩となります。

機械・設備からの発熱

製造装置やモーター、コンプレッサーなどの稼働により発生する熱が、工場内温度を大幅に押し上げる主要因であることが多いです。特に加熱設備などの大型機械からは大量の輻射熱が放出され、周辺の作業環境温度を上昇させます。

これらの機械熱は連続稼働により長時間にわたって熱を供給し続けるため、空調システムだけでは対処が困難な状況を生み出します。ましてや機械設備の配置や排熱対策が不十分な場合、局所的な高温スポットが形成され、作業員の熱中症リスクを高める深刻な問題となります。

建物構造による熱の蓄積

多くの場合、工場は気密性が高い構造のため熱を蓄積しやすく、工場内の温度は高くなりやすいです。特に鉄骨造やコンクリート造の建物では、屋根や外壁に蓄積された太陽熱が夜間まで放出され続け、24時間にわたって室内温度を押し上げます。

また、大きな機械設備や在庫棚により風通しが阻害される構造的特徴も、熱気の滞留を促進する要因となっています。天井高が高い分、暖められた空気が上部に蓄積され、効率的な換気や空調が困難になることも建物構造に起因する課題です。

工場の暑さ対策を行わなければならない理由

上記のような理由で工場は暑くなりやすいため、暑さ対策を行う必要があります。しかし暑さ対策は単なる快適性向上ではなく、法的義務や生産性の観点からも実施する必要があります。

労働安全衛生規則による義務化

2025年3月に厚生労働省は事業者に対し、職場の熱中症対策を義務化しています。適切な対策を講じなければ法的責任を問われる可能性があります。具体的には、「暑さ指数28以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超える作業を行う場合」が対象となり、以下のような対策を行わなければなりません。

▶社内報告体制の整備

▶応急処置手順書の事前作成

▶従業員への周知

違反した場合は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるため、十分注意しましょう。

参考:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002247729.pdf

作業効率・生産性の低下防止

高温環境下では作業員の集中力や作業速度が著しく低下し、結果として生産性の大幅な減少を招きやすくなります。体温上昇により判断力が鈍り、手先の精密作業や複雑な操作でミスが頻発しやすくなります。また、暑さによる疲労蓄積により作業時間の短縮や休憩回数の増加が必要となり、計画された生産スケジュールの遅延を引き起こしてしまうでしょう。

快適な作業環境の確保は、従業員のモチベーション維持と持続的な生産能力の発揮につながります。

高温環境は工場の生産効率の低下に影響を及ぼします。生産効率を高めるには、暑さ対策だけでなく「【分かりやすい】工場を効率化するには?生産効率を高めるための手法やポイントを解説!」をご覧ください。

製品品質・設備状態の維持

温度管理が不適切な環境では製品の変形や劣化が発生し、品質基準を満たさない不良品の増加につながります。特に樹脂製品や食品、化学製品などは温度変化に敏感で、規定温度を超えると物性変化や化学反応により製品価値が大きく損なわれてしまいます。

製品だけでなく、高温環境は工場内の精密機械の誤作動や部品劣化を加速させ、予期しない設備停止や高額な修理費用の原因となります。電子部品やモーター、油圧システムなどは適正温度範囲を超えると性能低下や寿命短縮が発生し、計画外のメンテナンスや設備更新が必要となります。

また、高温環境下での作業では、上記のように作業員の注意力散漫により製造工程でのミスが発生しやすく、結果として製品品質の安定性確保が困難になります。品質トラブルは顧客満足度低下や信頼失墜を招く重大なリスク要因です。

このように高温環境は不良品発生の原因につながりかねません。ほかにもさまざまなシーンで不良品発生の原因があるため、「【改善事例も】製造業における不良品発生の原因とは?効果的な対策方法を詳しく紹介!」をご覧ください。

従業員の健康管理と離職率改善

夏場の高温環境は、熱中症リスクや慢性的な体調不良により、優秀な人材の離職や採用困難を招く深刻な労務問題となりえます。継続的な高温環境での作業は従業員の身体的・精神的負担を増大させ、長期的な健康被害や職業病のリスクを高めます。

特に熟練技術者の離職は技術継承の断絶や生産ノウハウの流出を引き起こし、企業の競争力低下に直結します。このため働きやすい環境整備は人材確保と定着率向上において不可欠であり、企業の持続的成長を支える基盤となります。

工場における主な5つの暑さ対策

効果的な暑さ対策として、以下のような5つが挙げられます。

 工業用エアコン換気・排熱システム断熱・遮熱対策冷却ミストシステムスポットクーラー
効果工場全体を一気に冷却できるエネルギー消費を抑えながら最大限の冷却効果を得られる夏季の屋根表面温度を20-30度低下させる周囲の空気温度を3-5度低下させる特定の場所を冷却できる
コスト高め中程度高め低め中程度

工業用エアコンの設置

工場全体を一気に冷却する効果的な手法で、安定した温度管理と快適な作業環境を実現します。大容量の業務用エアコンシステムを導入することで、広大な工場空間でも均一な温度分布を維持でき、作業員の快適性と生産性向上を促します。

ただし、電力消費量が個人で使用することで際と大きく異なるため、インバーター制御による省エネ運転や、外気温度に応じた自動調整機能を利用しましょう。これにより、電力消費を最適化しながら効率的な冷房効果を得られます。

初期投資は高額ですが、工場全体の環境改善効果は大きく、長期的な生産性向上とランニングコスト削減を両立できます。

換気・排熱システムの導入

換気ファンや排熱ダクトにより熱気を効率的に屋外へ排出・新鮮な外気を取り入れる基本的な対策手法です。自然換気と強制換気を組み合わせることで、工場内の熱気を計画的に排出し空気の循環を促進します。特に天井部分に蓄積された暖気を強制排出し、床面近くから外気を取り入れる縦方向の気流設計をきちんと行うことで、効率的な温度低下を実現できます。

排気ファンの配置や風量調整、ダクト設計の最適化により、エネルギー消費を抑えながら最大限の冷却効果を得られる経済的な対策手法として多くの工場で採用されています。

断熱・遮熱対策の実施

屋根や壁面への断熱材施工や遮熱塗料の塗布により、外部からの熱侵入を遮断する手法です。建物外皮の熱性能を向上させることで、太陽光による温度上昇を大幅に抑制し、空調負荷を根本的に軽減できます。

具体的には遮熱シートや断熱材の設置により、夏季の屋根表面温度を20-30度低下させる効果があり、工場内への熱伝導を最小限に抑えます。

こちらも初期投資は必要ですが、長期的な省エネ効果と作業環境改善により投資回収が期待でき、建物の資産価値向上にもつながる持続可能な対策として注目されています。

冷却ミストシステムの設置

微細な水滴を噴霧することで気化熱を利用した冷却効果を得る、比較的低コストで導入可能な冷却手法です。水の蒸発による気化熱で周囲の空気温度を3-5度低下させる効果があり、特に屋外作業エリアや半屋外の作業場で効果を発揮します。

ノズルから噴射される超微細ミストは衣服を濡らすことなく体感温度を大幅に改善し、作業員の熱中症リスクを効果的に軽減します。設置工事も比較的簡単で、既存設備への影響を最小限に抑えながら即効性のある冷却効果を実現できる実用的なソリューションとして幅広い業種で活用されています。

スポットクーラーの活用

特定の作業エリアを集中的に冷却する可搬式の冷却装置で、柔軟な運用が可能な局所対策として有効です。移動式のため必要な場所に必要な時だけ設置でき、作業内容や季節に応じた効率的な運用が可能です。

機械熱が発生する設備周辺や、特に高温になりやすい作業ポイントに集中配置することで、限られた電力で最大限の冷却効果を得られます

工場全体の空調設備が導入困難な場合でも、重要な作業エリアの環境改善を図れる現実的な選択肢として、多くの製造現場で重宝されている実用性の高い暑さ対策手法です。

暑さ対策における注意すべきポイント

暑さ対策の導入時には、以下のようなポイントを踏まえた総合的な観点から検討しましょう。

導入・運用コストのバランスを考える

初期投資だけでなく電気代やメンテナンス費用を含めた長期的なコスト試算が設備選定時には重要です。工業用エアコンや大型冷却システムは初期費用が高額ですが、工場全体の生産性向上や従業員の健康管理による間接的なコスト削減効果も考慮する必要があります。

電力消費量の増加による電気料金の上昇や定期メンテナンス、部品交換費用、設備の耐用年数などを総合的に評価し、ROI(投資収益率)を算出することで最適な設備選択が可能です。このように短期的な導入コストの安さだけでなく、長期運用での総合的な経済性を重視した判断を行いましょう。

冷却効果を最適化できるような配置にする

冷却設備の効果を最大化するには、工場内の空気循環パターンを考慮した設備配置が不可欠です。熱源となる機械設備の位置や作業員の動線、建物の構造的特徴を詳細に分析し、最も効率的な冷気の流れを設計する必要があります。


この特徴に合わせてエアコンの吹出口方向や換気ファンの配置、スポットクーラーの設置位置などを最適化することで、同じ電力消費量でも格段に高い冷却効果を得られます。また、冷気の流出を防ぐ間仕切りや、熱気の滞留を防ぐ気流設計により、設備投資効果を最大限に引き出せます。

冷房設備のフィルター性能を見直す

エアコンや冷却システム・ミスト発生器などのフィルター性能は冷却効率を左右する重要な要因であり、既存フィルターから高性能なフィルターへの切り替えをおすすめします。

目詰まりしやすいフィルターでは空気の流量を大幅に低下させ、思うように冷却できない可能性があります。しかし高性能フィルターであれば、微細な粉塵や汚染物質を効率的に除去し、清浄な空気循環を維持することができるため、冷却システムの性能を長期間にわたって安定させます。

また、ミスト発生器においては、高性能フィルターの多孔質構造を活用することで、より細かく均一なミストを発生させることができます。これにより、不快感の少ない快適なミスト環境を実現できます。

ニチダイフィルタの高性能フィルターは暑さ対策に必要な飲料水やソフトクリームの製造ライン、冷却ミストのノズル先端部分などに使用されています。

製造工程での品質管理と同様に、冷却システムにおいてもフィルター性能が最終的な効果を大きく左右するため、信頼性の高い製品選択が重要です。

品質管理について詳しくは「【分かりやすい】品質管理とは?効果的・見落としがちな品質管理方法を詳しく解説!」をご覧ください。

効果的な暑さ対策の実施と機器設備の見直しを行おう

工場における暑さ対策は、法的義務の遵守だけでなく生産性向上や従業員満足度の改善まで、多くのメリットがあります。効果的な対策を実現するには、なぜ暑くなるのか原因の正確な把握と自社の工場に適した手法の選択が不可欠となります。特にエアコンなどの冷却システム導入は基本的な対策として多くの工場で実施されています。

また、コストはかかりますが、フィルター性能が冷房効率を大きく左右するため、高性能フィルターの導入がおすすめです。適切な暑さ対策により、安全で快適な作業環境と持続可能な生産体制を両立させましょう。

ニチダイフィルタは積層焼結金網フィルターの生産能力で世界一を誇るメーカーとして、50年以上の実績と技術力でお客様のあらゆるニーズにお応えしています。設計から製造、アフターサービスまでの一気通貫体制により、現場の課題に的確にお応えします。なにかお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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