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ブログ・コラム

【医薬業界向け】金属片が製品に混入する原因とは?リスクや防ぐ方法をわかりやすく紹介

2026/03/25

  • 業務改善の紹介

医薬品の製造現場において、金属片の混入は絶対に許されないトラブルのひとつです。ひとたび混入が発覚すれば、製品の回収・出荷停止はもちろん、GMP違反による行政処分、さらには患者への健康被害まで引き起こしかねません。

「自社の製造ラインで金属片が混入するリスクはないか」「万が一に備えてどんな対策を講じればいいか」——そう感じている製造担当者の方は少なくないはずです。

この記事では、金属片が製品に混入する主な原因と経路を整理したうえで、現場で実践できる4つの防止対策をわかりやすく解説します。設備面・管理面の両方から多層的に対策を講じることで、混入リスクを限りなくゼロに近づけることができます。ぜひ自社の現場改善にお役立てください。

金属片の混入が医薬品製造にもたらすリスク

まず、金属片の混入がどれほど深刻な問題につながるのかを改めて確認しておきましょう。リスクの大きさを正確に理解することが対策の第一歩となります。

膨大な回収コストが発生する

金属片の混入が発覚した場合、当該ロットの製品を市場から回収しなければならないケースがほとんどです。回収にかかるコストはもちろん、出荷停止期間中の機会損失、在庫廃棄にともなう損失も加わり、経営へのダメージは甚大です。

実際に厚生労働省が発表している平成25年度医薬品等自主回収一覧によると、ある企業において製品に微細な金属片(0.1mm × 2mm)が混入している事例が見つかっています。具体的な回収コストは不明ですが企業の規模や流通量によって数千万円から、大規模なもの(数百万個単位)になると数十億円に達することもあります。

参考:平成25年度医薬品等自主回収一覧(クラスⅡ)|厚生労働省

また、一度異物混入が発見され回収フェーズに入ると混入の原因究明から再発防止策の策定・実施が完了するまで製造ラインを止めざるを得ない状況になることもあります。このように生産計画の大幅な見直しを強いられ、取引先への影響も避けられません。

GMP違反・行政処分を受ける

医薬品製造はGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)に基づいて管理されており、異物混入はGMP違反に直結します。厚生労働省や都道府県の監督機関による査察が入り、業務改善命令や製造業許可の停止・取り消しといった行政処分を受けるリスクもあります。

一度GMP違反の記録がつくと、その後の査察での視線が厳しくなるのはもちろん、取引先からの信頼にも影響します。コンプライアンス上の観点からも、金属片混入の防止は企業として最優先で取り組むべき課題です。

患者への健康被害が発生する

医薬品に金属片が混入した場合、それを服用・使用した患者が口腔内や消化管など体内の器官を傷つけるなど、直接的な健康被害を引き起こす可能性があります。注射剤や点滴製剤であれば、血管への影響も考えられます。こうした健康被害は被害者の命が危ぶまれることはもちろん、多額の賠償責任も求められることになります。

企業のブランド・信頼性が失墜する

上記のように患者への直接的な健康被害が発見されると、さらに企業の社会的信頼は大きく傷つきます。ブランドイメージの回復には長い時間とコストがかかり、場合によっては企業の存在自体をつぶしかねないほど取り返しのつかない結果を招くこともあります。

このように金属片混入はコストの問題だけでなく、企業の存続に関わるリスクだという認識が必要です。

金属片はなぜ製品に混入するのか?主な原因とは

対策を講じる前に、まず「なぜ混入が起きるのか」を正確に把握することが重要です。混入の原因は大きく5つに分類できます。自社の製造工程と照らし合わせながら確認してみてください。

設備・機械の摩耗や破損による発生

製造ラインで使用されるミキサー、撹拌機、粉砕機などの機械は、長期間の稼働によって内部部品が摩耗・劣化します。この摩耗や劣化によって生じた金属粉や金属片が、そのまま製品に混入してしまうケースは非常に多く見られます。

特に問題になりやすいのが、摩耗が目に見えにくい内部部品です。外観上は問題なく見えても、内部では少しずつ削れて金属片が発生しているケースがあります。定期的な分解点検を実施していない現場では、こうしたリスクに気づかないまま製造が続いてしまうことがあります。

配管・バルブ・ポンプなどからの脱落

液体や粉体を移送する配管、バルブ、ポンプなどの部品も、金属片の発生源になりえます。接続部のボルト・ナットの緩みや腐食、シール材の劣化などによって部品が脱落・破損し、製品ラインに混入するケースです。

特に腐食が進みやすい環境(酸性・アルカリ性の薬液を扱う工程など)では、配管内壁から錆や腐食片が剥離するリスクもあります。使用する素材や表面処理の選定が不適切な場合も、こうした問題が起きやすいです。

工具・部品の管理不備

製造設備のメンテナンスや清掃に使用する工具が、作業後に設備内に置き忘れられてしまうケースがあります。また、修理・交換作業中に発生した金属の切りくずや部品の破片が、設備内に残留したまま製造が再開されてしまうことも混入の原因になります。

こうした「ヒューマンエラー」による混入は、手順書や管理ルールが整備されていない現場ほど発生しやすい傾向があります。使用工具の入出管理や作業後の確認手順が形骸化していないか、見直しが必要です。

原材料・資材に由来する混入

製品に使用する原材料や資材そのものにすでに金属片が混入しているケースもあります。サプライヤーの製造工程での混入、輸送中の破損・汚染などが原因として考えられます。

受け入れ検査の精度が低い場合、こうした混入を見逃したまま製造工程に原材料が投入されてしまいます。特に海外調達品や新規サプライヤーからの原材料は、品質のばらつきリスクがあるため注意が必要です。

作業員由来の混入(工具の持ち込み・装飾品など)

作業員が作業エリアに持ち込んだ工具・文房具・アクセサリーなどが混入源になることもあります。ポケットに入れた金属製のクリップやボタン、腕時計や指輪などが、作業中に製品や設備内に落下するケースです。

また、ヘルメットやゴーグルなどの保護具の金属パーツが劣化・脱落することもあります。入退室時の身体チェックや持ち込み物品の規制が不十分な現場では、こうした意図しない混入が発生しやすくなります。

金属片混入を防ぐ4つの対策

原因と経路を把握したところで、具体的な防止策に移りましょう。金属片の混入を防ぐには、「発生させない」「せき止める」「検出する」「管理・教育する」という4つの対策に取り組みましょう。

【対策1】発生源を断つ

異物混入を防ぐ最初の対策としては、金属片を可能な限り発生させないことが挙げられます。完璧に脱落リスクを抑えることは不可能ですが、設備の定期点検と予防保全(PM:Preventive Maintenance)を徹底することで、脱落リスクを大幅に低減することは可能です。

具体的には、摩耗が想定される部品(ブレード、スクリュー、シール材など)の交換サイクルを設定し、劣化が進む前に計画的に交換する仕組みを作りましょう。また、分解点検の際には内部の腐食・傷・亀裂などを目視・計測で確認し、問題が見つかればすぐに対応することで金属片の脱落リスクを減らすことができます。

また点検記録を適切に管理することで、摩耗や劣化する部分・傾向を把握しやすくなり、異常の予兆を早期に捉えることもできます。すでに取り組みを実施されている企業も多いですが、改めてその頻度と点検箇所などを見直し、より金属片が脱落できないような体制を整えましょう。

予防保全について詳しくは「【導入ステップあり】予防保全とは?その目的と効果的な手法を解説」をご覧ください。

【対策2】高性能フィルターに切り替える

上記のように設備管理を徹底しても、製造ライン上で発生した金属片をゼロにすることは困難ですが、万が一金属片が発生した場合に、製品に混入する前に高確率で除去できる仕組みを工程内に設けることが重要です。その重要な役割を担うのがフィルター(ろ過装置)です。

製造ラインの適切な箇所にフィルターを設置することで、液体や気体の流れの中に混入した金属片を物理的に捕捉・除去できます。特に医薬品製造では、微細な異物まで確実に除去できる高精度なフィルターが求められます。

この用途で高い評価を受けているのが、ニチダイフィルタの「積層焼結金網フィルター」です。複数枚のステンレス金網を重ねて焼結一体化したこのフィルターは、各層の金網が互いに交錯することでミクロン単位の均一なろ過精度を実現しています。

また、金属製であるため耐熱・耐圧・耐薬品性に優れており、医薬品製造のような過酷な環境でも安定したパフォーマンスを発揮します。実際に医薬品製造用ろ過乾燥板として「ポアメット」が使用されているなど、さまざまな用途で利用されています。

ポアメットは2~200ミクロンの幅広いろ過粒度において高精度のろ過機能を実現でき、耐圧強度もあらゆるフィルタメディアの中で最大のため、汎用性に優れています。

ほかにも医薬品製造向けには、透過性・洗浄性を重視したボンメッシュ」や、サニタリー用途に最適な平滑で微細な「SCP」など、用途に応じた製品ラインナップを展開しています。お客様の要望にお応えした特注品も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

【対策3】検出・排除する

上記のフィルターによるろ過に加えて、製品の検査工程で金属片を検出・排除する仕組みも重要な対策のひとつです。代表的な検査機器として、金属探知機とX線検査機があります。

金属探知機は、電磁誘導の原理を利用して製品中の金属異物を検出する装置です。比較的低コストで導入できる反面、製品に含まれる塩分・水分の影響を受けやすいという特性があります。X線検査機は、金属だけでなくガラスや骨片なども検出でき、より幅広い異物に対応できますが、導入コストは金属探知機より高くなります。

どちらの機器も、単体で使用するよりもフィルターと組み合わせることでさらに金属片を発見・捕集できる確率を高めます。理想は高性能フィルターで大部分の異物を除去し、最終的な安全網として検査機器を設置するという導線が脱落リスクを最小化するでしょう。

【対策4】管理・教育で再発を防ぐ

フィルター設備や探知機などの機器への投資と並行して、管理体制の整備と従業員への教育というソフト面の対策も欠かせません。どれだけ優れた設備を導入しても、運用するのは人であるため、ヒューマンエラーを防ぐ仕組みが必要です。

具体的には以下のような取り組みが有効です。

  • 手順書・SOP(標準作業手順書)の整備

設備メンテナンスや工具管理、入退室ルールなどを明文化し、全員が同じ手順で作業できる環境を整えます。

  • 工具・部品の入出管理の徹底

使用した工具の数量を作業前後で確認し、設備内への置き忘れを防ぐ仕組みを構築します。「工具管理板」を活用して視覚的に管理する現場も増えています。

  • 定期的な教育・訓練の実施

金属片混入のリスクと原因、防止対策について定期的に教育を行い、従業員一人ひとりの意識を高めます。新入社員だけでなく、ベテラン作業員へのリフレッシュ教育も重要です。

  • トレーサビリティの確保

万が一混入が発覚した場合に、原因をすばやく特定・是正できるよう、製造記録・点検記録・原材料ロットなどの情報を適切に管理します。

このような取り組みを進めることで金属片の脱落リスクをできるだけ抑えることができます。

これらの教育には5S活動が効果的です。

【分かりやすい!】 5S活動とは?その目的やメリット、実践的に進める方法や手順などを詳しく解説!」をご覧ください。

4つの対策を実施して、金属片の混入リスクをゼロに近づける

金属片の混入は、医薬品製造において絶対に避けなければならないコンタミネーションのひとつです。その原因は設備の摩耗・配管の劣化・工具の管理不備・原材料由来・作業員由来など多岐にわたり、単一の対策だけでリスクをゼロにすることは困難です。

だからこそ重要なのが、「発生させない」「せき止める」「検出する」「管理・教育する」という4つのアプローチを組み合わせた考え方です。設備の予防保全で金属片の発生を最小化し、フィルターで工程内の異物を捕捉し、検査機器で最終確認を行い、管理体制と教育でヒューマンエラーを防ぐ——このような対策が、医薬品製造における品質保証を左右する基盤となります。

特にフィルターの選定は、対策の実効性を左右する重要なポイントです。積層焼結金網フィルターのような高精度・高耐久のフィルターを適切な工程に設置することで、金属片を含む異物を高確率で除去し、製品品質を安定して守り続けることができます。

ニチダイフィルタは積層焼結金網フィルターの生産能力で世界一を誇るメーカーとして、50年以上の実績と技術力でお客様のあらゆるニーズにお応えしています。設計から製造、アフターサービスまでの一気通貫体制により、現場の課題に的確にお応えします。なにかお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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