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フレームアレスタ(逆火防止装置)とは?仕組み・使用場所・求められる性能をわかりやすく解説

2026/11/05

  • 製品の紹介

フレームアレスタ(フレームアレスター/逆火防止装置)とは、可燃性ガスや蒸気の流れは通しながら、金属製の消炎エレメントで火炎の熱を奪い、配管やタンク内部への火炎の侵入を防ぐ安全装置です。化学プラントや燃料タンク、バイオガス設備などでは、可燃性のガスや蒸気を扱います。外部で発生した火が配管やタンクの内部へ逆流すると、爆発や大規模な火災につながるおそれがあります。本記事では、フレームアレスタの定義や仕組み、使われる場所、内部に使われる多孔質金属体の役割、求められる性能、さらに選定とメンテナンスのポイントまでを解説します。

この記事でわかること

  • フレームアレスタの定義と、火炎を止める基本的な仕組み
  • フレームアレスタが使われる代表的な設備と場所
  • 消炎エレメントに多孔質金属体が使われる理由
  • 消防法における位置づけと、求められる性能
  • 積層焼結金網を採用した際の安全性・メンテナンス性の向上
  • 導入時に確認したい選定・メンテナンスのポイント

1. フレームアレスタとは

フレームアレスタ(Flame Arrester)は、日本語では「火炎防止器」とも呼ばれ、配管やタンク内で発生した火炎が逆流して設備内部へ伝わるのを防ぐ安全装置です。「逆火防止装置」や「引火防止装置」と呼ばれることもあります。

可燃性のガスや蒸気は、空気と混ざった状態で着火源に触れると燃焼します。いったん火が設備の内部に入り込むと、タンクや配管の中で燃え広がり、圧力上昇や爆発を引き起こすおそれがあります。

フレームアレスタは、ガスの流れは通しながら、火炎だけを遮断するという役割を担います。通気や送気の機能を保ったまま安全性を確保できる点が、この装置の大きな特徴です。

積層焼結金網が炎・火の粉を遮断するフレームアレスタの消炎イメージ図 積層焼結金網スクリーンを組み込んだフレームアレスタの製品外観

2. フレームアレスタが使われる主な場所

フレームアレスタは、次のような場所で使用されています。

  • 可燃性ガスの配管
  • 溶剤タンク・燃料タンク
  • 化学プラント
  • 水素設備
  • バイオガス設備
  • VOC(有機溶剤)排気設備

いずれも、可燃性の気体や蒸気が存在し、外部からの着火源によって火炎が逆流する可能性がある場所です。とくに水素は燃焼範囲が広く、消炎距離も小さいため、高い消炎性能が求められます。

また、タンクの通気口は外気と直接つながっているため、フレームアレスタが設置される代表的な箇所です。

3. フレームアレスタの仕組み(消炎の原理・構造)

フレームアレスタの内部には、金属製の細かい多孔質体、波板、金網などの消炎エレメントが組み込まれています。火炎がこのエレメントを通過しようとすると、次の原理で延焼が止められます。

  1. STEP 1金属エレメントが火炎の熱を吸収する
  2. STEP 2火炎の温度が着火温度以下に低下する
  3. STEP 3炎が消える(消炎)

金属は熱伝導性が高いため、火炎の熱を素早く奪うことができます。エレメントの隙間が十分に細かければ、炎が通り抜ける前に熱が奪われ、燃焼を続けられなくなります。炎が通り抜けられなくなる隙間の限界を「消炎距離」といい、対象となるガスの種類によって値が異なります。エレメントの隙間は、この消炎距離より小さく設計する必要があります。

流れてくるものフレームアレスタ(金属多孔質体)での働きタンク・配管の内部
外部の火炎熱を奪われて炎が消える火炎は入らない
ガス(蒸気・空気)細孔を通過する通気は確保される

ただし、ガスの流量が極端に多い場合や、温度・圧力が設計条件を超える場合には、消炎性能が十分に発揮されないことがあります。そのため、装置は使用条件に合ったものを選ぶことが欠かせません。

4. 消炎エレメントに求められる性能

消炎エレメントには、安全性を確保するため次のような性能が求められます。

性能内容
耐熱性火炎や高温ガスにさらされても、変形や劣化が起きにくいこと
耐食性腐食性の流体や湿気に対して、長期間の使用に耐えること
強度圧力や衝撃に耐え、エレメントが破損・変形しないこと
圧力損失の低さガスの流れを妨げず、通気性能を確保できること
均一な細孔構造全体で消炎性能が一定になり、ばらつきが少ないこと

とくに重要なのは、細かく均一な隙間と、流れを妨げない通気性の両立です。隙間を細かくすると消炎効果は高まりますが、同時に圧力損失も大きくなります。圧力損失が増えすぎると、タンクの通気能力や配管の流れに悪影響を与えるおそれがあります。このバランスの取り方が、フレームアレスタの性能を左右する重要なポイントです。

5. 多孔質金属体(焼結金網・メタルファイバー)の役割

フレームアレスタの消炎エレメントには、焼結金網(ポアメット)やメタルファイバーなどの多孔質金属体が使われることがあります。

  • 焼結金網:金網を焼き固めて作られるため、細孔の大きさを精密に制御しやすく、均一な消炎性能を得やすい素材です。
  • メタルファイバー:金属繊維を絡み合わせて作られ、通気性と消炎性能のバランスを取りやすい素材です。

いずれも金属製であるため、熱伝導性と耐熱性に優れ、火炎の熱を素早く吸収できます。また、樹脂と比べて高温環境でも劣化しにくく、長期間の使用に適しています。

6. 消防法とタンク通気装置での位置づけ

ニチダイフィルタでは、フレームアレスタを消防法でも規定されている保安装置の部品と位置づけ、可燃性の流体を貯蔵するタンクの通気装置に取り付けられる部品として提供しています。

引火性液体(ガソリンや溶剤など)を貯蔵するタンクでは、通気管に引火防止装置を設けることが消防法令で定められています。フレームアレスタは、この保安装置の役割を担う部品の一つです。

具体的には、次のような働きをします。

  • 気体の流れを確保する
  • 火炎を遮断し、タンク内への引火を防ぐ
  • 万が一火災が発生しても、被害がタンク内部へ広がるのを抑え、被害を最小限に留める

設置基準は、施設の規模や貯蔵する危険物の種類によって異なります。設計や導入の段階で、所轄の消防本部などに確認することをおすすめします。

7. 積層焼結金網による安全性・メンテナンス性の向上

ニチダイフィルタでは、高強度で開孔がより細かい積層焼結金網を提案しています。積層焼結金網は均一な細孔構造を持つため、安定した流量特性と消炎性能の実現に寄与します。積層焼結金網には、次のような特長があります。

特長1:製品の個体差が少なく、安定した安全性を確保

積層焼結金網スクリーンは、開孔と圧力損失が均一に仕上がるため、製品ごとのばらつきが抑えられます。フレームアレスタは、個々の製品が同じ性能を発揮することが前提となる装置です。そのため、均一性は安全性に直結します。

特長2:洗浄再生により繰り返し使用でき、メンテナンス性が向上

使用を続けると、スクリーンには粉じんや固形物などの付着物がたまります。付着物が増えると通気性が低下し、圧力損失の増加や性能低下につながります。積層焼結金網は金属製であるため洗浄再生が可能であり、適切なメンテナンスによって繰り返し使用できます。

8. 選定・メンテナンスの注意点

フレームアレスタを選び、運用するうえでは、次の点を確認することが大切です。

確認項目確認する内容
対象ガスと消炎性能ガスの種類によって適した消炎距離や性能が異なるため、対象ガスに適合した製品を選びます。
使用条件温度、圧力、流量が設計条件の範囲内に収まるかを確認します。
圧力損失通気の妨げにならないか、タンクの通気能力とのバランスを確認します。
耐食性・耐熱性流体の性質や設置環境に合った材質を選びます。
定期点検と清掃付着物による目詰まりは性能低下の原因になるため、定期的に点検します。
法令・規格への適合設置基準は所轄の消防本部などに確認します。

また、フレームアレスタは火炎の伝播を止める装置です。爆轟(衝撃波を伴う超音速の燃焼)に対しては効果が限られる場合があるため、爆轟のおそれがある設備では、別途の対策も含めて検討する必要があります。

フレームアレスタの消炎エレメント選定でお悩みの方へ
対象ガス・流量・圧力損失などの条件に合わせて、積層焼結金網を使った消炎エレメントの設計・製作をご相談いただけます。まずは製品カタログをご確認いただくか、個別仕様のご相談も承っております。

9. まとめ

  • フレームアレスタは、火炎の逆流を防ぐ保安装置です。
  • 内部の金属エレメントが火炎の熱を奪い、炎を消します。
  • 配管、タンク、化学プラント、水素設備、バイオガス設備などで使用されます。
  • 消炎エレメントには、耐熱性・耐食性・強度・低い圧力損失・均一な細孔構造が求められます。
  • 積層焼結金網は、均一な細孔構造と洗浄再生のしやすさによって、安定した消炎性能とメンテナンス性に寄与します。

安全装置は、設置して終わりではありません。適切な選定と定期的な点検を続けることで、初めて本来の効果を発揮します。

10. よくある質問

Q1. フレームアレスタは日本語で何といいますか?逆火防止装置と同じものですか?

A. 一般的に同じ意味で使われます。「火炎防止器」「引火防止装置」とも呼ばれ、英語では「Flame Arrester」と表記されます。

Q2. フレームアレスタはどのような仕組みで火を止めるのですか?

A. 内部の金属エレメントが火炎の熱を吸収し、火炎の温度を着火温度以下に下げることで、炎を消します。ガスは通しながら、火炎だけを止める仕組みです。

Q3. 多孔質金属体が使われるのはなぜですか?

A. 金属は熱伝導性と耐熱性に優れ、火炎の熱を素早く奪えるためです。焼結金網やメタルファイバーは細孔を均一に作りやすく、安定した消炎性能を得やすい素材です。

Q4. 消防法では、フレームアレスタの設置が義務付けられていますか?

A. 引火性液体を貯蔵するタンクの通気管には、引火防止装置を設けることが消防法令で定められています。フレームアレスタは、その保安装置の部品として使われます。具体的な設置基準は施設の規模や貯蔵物によって異なるため、所轄の消防本部などへ確認してください。

Q5. フレームアレスタを使えば、どのような火災も防げますか?

A. いいえ。フレームアレスタは火炎の伝播を止める装置であり、爆轟に対しては効果が限られる場合があります。リスクに応じて、ほかの安全対策と組み合わせることが重要です。

Q6. 積層焼結金網のメリットは何ですか?

A. 均一な細孔構造を持つため、安定した流量特性と消炎性能の実現に寄与し、製品ごとの性能のばらつきも少なくなります。また、金属製であるため洗浄再生が可能であり、適切なメンテナンスによって繰り返し使用できます。

Q7. メンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?

A. 流体の種類や粉じんの有無など、使用環境によって異なるため一概には言えません。付着物で目詰まりすると圧力損失が増え、性能が低下するおそれがあります。使用状況に応じて点検の頻度を決め、定期的に確認することをおすすめします。

Q8. フレームアレスタはどのように選定すればよいですか?

A. 対象ガスの種類に適合した消炎性能、温度・圧力・流量などの使用条件、タンクの通気能力とのバランス(圧力損失)、流体や設置環境に合った材質を確認して選びます。設置基準は所轄の消防本部などに確認してください。

Q9. フレームアレスタの消炎エレメントの材質は何ですか?

A. ニチダイフィルタでは、オーステナイト系ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L)を使用しています。材質は使用条件や仕様に応じて選定します。

ニチダイフィルタでは、あらゆる業界のお客様の課題解決に、開発から試作・製品化・量産までワンストップ、一品一様のカスタム製品でご対応いたします。ステンレス素材(金網・繊維・薄板など)の拡散接合(焼結)技術において50年以上の実績を持ち、高温・高圧・腐食環境などの厳しい条件下でも安定した性能を発揮する製品を、食品・医薬品・化学プラント・半導体・水素エネルギーなど幅広い業界にご提供しています。フレームアレスタの消炎エレメントの選定でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

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