
ストレーナーとは、配管内を流れる液体・気体からゴミや異物を物理的に除去し、後段の機器や製品を保護するためのろ過装置です。ポンプ・バルブ・計測機器の保護から、食品・医薬品製造ラインにおける異物混入対策まで、幅広い産業分野で使用されています。本記事では、ストレーナーの基本的な種類・仕組みと、用途に応じた選び方のポイントを解説します。
この記事でわかること
- ストレーナーの役割と、フィルターとの違い
- 構造(Y型・バスケット型・インライン型・複式)と素材による分類
- 用途別・業界別に見た選び方の5つのポイント
- 織金網タイプと焼結金網タイプ(拡散接合)の違い
1. ストレーナーの役割
ストレーナーは、配管系統においてポンプ・バルブ・熱交換器・計測機器などの下流機器を、流体中に含まれる砂・スケール・溶接カス・繊維くずといった異物から保護する目的で設置されます。加えて、食品・医薬品製造ラインでは、製品そのものへの異物混入を防ぐ品質保証上の役割も担います。設置目的によって求められる捕捉精度(目開き)や構造が異なるため、まず「何を」「どの程度の精度で」除去したいのかを明確にすることが選定の出発点となります。
2. ストレーナーの種類(構造による分類)
| 種類 | 構造の特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Y型ストレーナー | 配管にY字状に接続し、内部のスクリーンで異物を捕捉する構造 | 省スペース設置、比較的軽負荷のライン |
| バスケット型ストレーナー | 着脱可能なカゴ状のエレメントを内蔵し、上蓋を開けて清掃・交換する構造 | 異物量が多いライン、頻繁な清掃が必要な用途 |
| インライン型ストレーナー | 配管に直列に組み込む構造で、比較的コンパクト | スペース制約のあるライン、連続運転用途 |
| 複式(デュプレックス)ストレーナー | 2系統を切替可能な構造で、片側を清掃中もライン停止が不要 | 連続運転が求められるプロセスライン |
※構造の呼称や分類は業界・メーカーによって表現が異なる場合がありますので、実際の選定時は仕様書・図面ベースでのご確認をおすすめします。
3. ストレーナー本体の素材による分類
| 素材 | 特徴 |
|---|---|
| ステンレス鋼(SUS304/SUS316等) | 耐食性・耐熱性に優れ、食品・医薬品・化学プラント等の高い衛生基準や薬液使用環境で選定されることが多い素材です |
| 樹脂(PVC等) | 軽量・安価ですが、耐熱性・耐薬品性はステンレスに劣る場合があります |
| 鋳鉄・鋳鋼 | ストレーナー本体(ハウジング)に用いられる素材です。鋳鉄製は比較的中低圧(1.0〜1.4MPa程度)の配管に、鋳鋼製はより高圧・高温や石油化学プラントなど過酷環境の配管に採用される傾向があります |
ろ過エレメント自体の構造にも違いがあり、金網を編み込んだ織金網タイプと、複数枚の金網を積層し拡散接合により一体化した焼結金網タイプとでは、耐久性・目開きの安定性・再生洗浄性に差が生じます。この違いについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
4. 用途別・選び方のポイント
| 選定観点 | 確認内容 |
|---|---|
| 目開き(メッシュ) | 想定する異物サイズと許容できる圧力損失のバランスで決定します |
| 耐食性 | 流体の種類(薬液・塩分濃度・温度)に応じた素材グレードをご確認ください |
| 洗浄・メンテナンス性 | CIP洗浄の有無、分解清掃の頻度・容易さをご確認ください |
| 設置スペース・配管形状 | Y型/インライン型/バスケット型のいずれが配管レイアウトに適するかご確認ください |
| ライン停止の可否 | 連続運転が必須の場合は複式(デュプレックス)構造の要否をご検討ください |
5. 業界別に見るストレーナーの選定ポイント
ストレーナーは汎用性の高い機器ですが、業界ごとに重視されるポイントが異なります。食品・医薬品製造では衛生基準への適合と洗浄性が、化学プラントでは耐薬品性が、半導体分野では超高純度・微粒子対策が重視されるなど、用途によって選定基準が大きく変わります。以下の関連記事では、業界別・目的別により具体的な選定ポイントを解説しています。
6. 導入事例
実際の使用シーンをイメージしていただけるよう、2つの事例をご紹介します。
事例①:サニタリー配管『インラインストレーナー』
①お客様の課題
- ラインを改造することなく異物を捕集したい
- フィルターを強度のあるものに変更したい
- 洗浄性の優れたフィルターが欲しい
②ニチダイフィルタからの提案
既設ラインの配管サイズに合わせたフィルターをご提案しました。お客様とのヒアリングを通して、適切なろ過精度、必要耐圧に応じたろ材・金網構成を選定し、ヘルールフランジ等お客様の配管接続形状に合わせて製作しています(材質:SUS304/316相当)。
③効果
積層焼結金網フィルターは耐久性・耐熱性・耐食性に優れているだけでなく、表面ろ過構造のため洗浄性にも優れており、繰り返しご使用いただけています。
事例②:積層焼結金網ストレーナー(既設品の部品代替・改善)
①お客様の課題
液体製品(食品・薬液・油・インク 他)の分級・異物除去や充填工程、気体製品(N2・H2・スチーム 他)の整流・異物除去や精製工程、洗浄水・クーラント液・循環ガスの異物除去、ろ過助剤(活性炭・珪藻土)の回収、粉体製品の給気・脱気、ポンプ・ブロワーの保護など、業種・用途を問わず「既設のストレーナーでは対応しきれない異物対策」に関するお悩みが数多く寄せられています。
②ニチダイフィルタからの提案
積層焼結金網(ボンメッシュ/ポアメット/SCP)を使用したステンレス製ストレーナーを、既設のU型・Y型ストレーナーのエレメント代替として、既設ハウジングの形状に合わせてオーダーメイドで製作します。ろ過精度は2μm〜1000μm(1mm)の範囲で、用途に応じて選定可能です。
③効果
耐圧・耐熱・耐食性に優れ、自社での再生洗浄にも対応しているため、繰り返しご使用いただけます。既設設備を活かしたまま部品代替が可能なため、大掛かりなライン改造をせずに導入いただけます。
※本製品はイプロスものづくり(会員制サイト)にも掲載していますが、詳細確認には会員登録が必要なため、本記事内ではリンクを割愛しています。
よくある質問
Q1. 食品・飲料業界ではストレーナーはどのような場面で使われていますか?
A. 飲料・調味料などの液体製品の充填工程における異物除去や、CIP洗浄水・クーラント液が循環する工程での異物捕集など、ライン内の複数の場所で使用されます。衛生基準への対応や洗浄のしやすさから、ステンレス製が選ばれることが多いです。
Q2. 医薬品・化粧品の製造ラインではどのように活用されていますか?
A. 原薬や薬液の異物除去・分級、充填工程での品質保証に加え、窒素(N2)やスチームなどのガスを扱う精製工程での整流・異物除去にも使用されます。サニタリー配管への対応や、頻繁な洗浄に耐える構造が求められる場面が多い業界です。
Q3. 化学プラントや半導体分野ではどのような使われ方をしていますか?
A. 化学プラントでは、薬液や反応ガスの整流・異物除去、ポンプやブロワーの保護対策として使用されます。半導体分野では、高純度な薬液・ガスラインにおける微粒子対策としての用途もあります。いずれも取り扱う流体に応じた耐薬品性・耐圧性を持つ素材選定が重要になります。
Q4. Y型とバスケット型はどちらを選べばよいですか?
A. 異物の発生量が少なく省スペース設置を優先する場合はY型、異物量が多く頻繁な清掃・交換が想定される場合はバスケット型が検討されることが多いですが、実際の運転条件に応じたご確認をおすすめします。
Q5. ステンレス製ストレーナーはどのような場面で選ばれますか?
A. 食品・医薬品製造や化学プラントなど、耐食性・耐熱性・衛生性が求められる環境で選定されることが多いです。
ニチダイフィルタでは、あらゆる業界のお客様の課題解決に、開発から試作・製品化・量産までワンストップ、一品一様のカスタム製品でご対応いたします。ステンレス素材(金網・繊維・薄板など)の拡散接合(焼結)技術において50年以上の実績を持ち、高温・高圧・腐食環境などの厳しい条件下でも安定した性能を発揮する製品を、食品・医薬品・化学プラント・半導体・水素エネルギーなど幅広い業界にご提供しています。ストレーナー・フィルターの選定でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
ストレーナー選定でお悩みの方へ
使用環境(流体種類・温度・洗浄条件・想定異物サイズ)に応じた仕様選定をサポートいたします。まずは製品カタログをご確認いただくか、個別仕様のご相談も承っております。


