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ブログ・コラム

導入インタビュー | Vol. 001

2026/03/30

  • 導入インタビュー

海の環境を守る力
– 三浦工業が挑んだバラスト水処理技術の軌跡 –

1959年のボイラ開発を起点に、貫流ボイラの国内トップメーカーとして確固たる地位を築き、現在は水処理、食品、メディカルなど多彩な分野でグローバルに事業を展開する三浦工業株式会社様(東京都港区/愛媛県松山市)。同社は船舶機器の分野においても約半世紀にわたる開発実績を持ち、その長年の技術蓄積の一端を、ニチダイフィルタも製品開発でサポートさせていただきました。産業の基盤を支える確かな技術力を持つ同社の舶用機器技術部部長 丹下 智陽氏に、バラスト水処理装置開発事業の歩みとともに、積層焼結金網フィルター(金属フィルター)導入の背景やその効果についてお話を伺いました。

三浦工業株式会社 松山本社 / バラスト水処理装置 HK              
▽ 1.世界の海洋環境保全に貢献する『バラスト水処理装置 HK』
その市場背景と開発で浮かび上がった技術課題
▽ 2.高い性能要件と技術的ハードルに挑む
両社で重ねた積層焼結金網フィルター(金属フィルター)のトライアルと成果
▽ 3.バラスト水処理装置のさらなる発展
同じ挑戦に臨む製造企業様へ向けたエール

1.世界の海洋環境保全に貢献する『バラスト水処理装置 HK』
その市場背景と開発で浮かび上がった技術課題

丹下氏:本製品は、海水や河川など船の重しとして取り込まれるバラスト水中のプランクトンや細菌類など生物を処理し、船舶による生態系の移動を抑止するための装置です。バラスト水内の50µm以上の生物をフィルタシステムで除去し、50µm未満の生物をUVリアクタにてUV照射し殺滅/無害化することで環境維持に大きく貢献しています。

Column バラスト水とは? 

主に船舶が空荷の時に、喫水を確保し、船舶を安定させるため「重し」として積載する海水のこと。船舶が取り込むバラスト水には、有害水生生物及び病原体が含まれており、これを他地域で排出すると 外来生物の移動や生態系の破壊を引き起こすため、IMO(国際海事機関)は海洋環境保護、生物多様性の保持等を図ることを目的とし、「船舶バラスト水規制管理条約」を制定し、バラスト水中の有害水生生物及び病原体を除去または無害化する装置の搭載を義務付けています。
参照:環境省HP「有害水バラストの排出規制 | 水・土壌・地盤・海洋環境の保全 | 環境省」
日本海水学会誌「バラスト水管理条約の概要」2016年

丹下氏:船舶向けバラスト水処理装置の開発を進めていた当時から、当社ではフィルターとUV照射を組み合わせた方式を検討していました。一般にUV方式は構造上、大型プランクトンの処理を十分に担いきれないため、設計思想の初期段階から前段フィルターに高いろ過性能を求める必要がありました。さらに、運用によってメッシュが開いてしまうことで捕捉性能が低下するリスクも想定されていたため、編み目を固定できるような、溶接構造のメッシュエレメントを探していました。しかし、バラスト水処理装置で求められるような極めて細かいメッシュになると製造難易度が一段と高くなるという技術的課題もありました。

丹下氏:バラスト処理装置では少なくとも10回連続(現在は15回)で性能基準を達成する必要があります。フィルターの処理対象となるLサイズ(最小サイズ50μm)のプラントンですと1m3あたり10匹未満にしなければなりません。洗浄機構などの動作や、その他変動要素がある中でも安定、かつ高いろ過性能を発揮するかどうかが懸念されました。

丹下氏:我々の目標としていた「ろ過性能」を安定的に実現することは難しく、通常の編み込み型のエレメントで分離性能が不安定になる状況を確認していました。本装置は装置入口の水質要件、出口基準が極めて厳しく、わずかなリークでもすぐに基準未達となるためより安定的に目開きを維持する方法が必要でした。しかしながら、ワイヤーをスリット状に形成して溶接で製造する方法だと、溶接による歪みなどがあり我々の求める小さな目開きでは製作が難しいという課題がありました。

2. 高い性能要件と技術的ハードルに挑む
両社で重ねた積層焼結金網フィルター(金属フィルター)のトライアルと成果

丹下氏:社内評価で目標値を達成できない状況が続いており、メッシュの安定性という観点で調査していたところ、「焼結」という技術があることを知りました。溶接のように金属を溶かして接合する方法ではないので目開きの安定性が期待できると考え、焼結技術に強みを持つニチダイフィルタさんへ相談に伺いました。打ち合わせの中で焼結エレメントの特徴や優位性を詳しくお聞きし、さらに製造現場を見せていただいて品質管理、技術の高さを感じました。

丹下氏:最初にご相談した際、当社の厳しい要求に対して「できない」という回答ではなく、常に「どうすれば実現できるか」を真剣に考えてくださいました。営業、技術、製造の皆さまが、当社の要求や想いを真正面から受け止め、多くの協議とトライアルに並走してくださったことが大きな支えとなりました。商品として成立するのか、ビジネスとして成り立つのか——暗中模索の中で、当社の開発テーマに寄り添い続けていただいた姿勢こそ、何よりの力でした。もちろん、エレメントの高い性能、焼結技術を安定して発揮する品質管理、それを支える検査体制など、ニチダイフィルタさんの“会社力”と“商品力”があってのことです。

丹下氏:導入後の効果ですが、少なくとも対象物に対して99.99%以上という高い分離性能を発揮していただいており、性能試験でも1つ考慮すべき点(ろ過性能)が無くなるため評価計画が立てやすいです。エラーがあった際にはフィルタエレメント以外を最初に確認するため、原因特定する上でも間接的に助かっています。ニチダイフィルタさんのエレメントで行う性能試験での不安はありませんでした。スムーズに性能試験を突破できて費用上のメリットもあり、試験を統括する機関様からも性能面について高い評価をいただいております。

丹下氏:焼結にて積層構造になっているため、そこまで気を払わなくても高圧洗浄機などで洗浄できる所にメリットを感じました。処理量が200m3/h以上のため、フィルタ自体が大きくなるが双方で軽量化を進めたこともあり、見た目ほど重量は無いことも良いと思いました。

3.バラスト水処理装置のさらなる発展
同じ挑戦に臨む製造企業様へ向けたエール

丹下氏:エレメントを搭載している装置に対するルール改正が予定されており、より厳しい性能が要求される見込みです。当社も様々な検討を行っている所ですので、ニチダイフィルタさんにも各種ご相談をさせていただければと思います。上記の軽量化もあって耐圧部分については更に向上を検討していければと幸いです。

丹下氏:付加価値の高いろ過装置、エレメントをお探しであればニチダイフィルタさんがご期待に応えてくれると思います。何より営業、設計、製造の皆さまとの距離が近く、お悩みの解決のために力を尽くしてくださります!ざっくばらんな内容でも対応いただけますのでフィルタ・エレメントに課題を感じられているようであれば相談されてみてはいかがでしょうか。


インタビューを終えて

今後も同社は、日本から世界へ、幅広い事業を広げながら、お客様に信頼されるパートナーとして環境に配慮した製品づくりをさらに推進されていくことと思います。当社もその歩みに寄り添い、焼結金属フィルタのより良い技術と品質でお役に立てるよう努めてまいります。三浦工業様がこれからも新たな価値創出へと歩まれることを楽しみにしています。

インタビューご出演:

三浦工業株式会社

舶用機器技術部 

部長 丹下 智陽 様 (右)

聞き手:

ニチダイフィルタ株式会社
取材 中辻 久美子(中央) /  営業担当 宮崎 淳一(左)

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